幸福に至る行程

成功は行程
ウェイン・W・ダイアー博士は,45分間の黙想を通して同様の結論に達しました。自著,「自分で自分の糸を引く」の中で,ダイアーは次のように書いています。
「もうずいぶん前のことになるが,わたしの人生で最大の転換期となったのは,代用教員として,自習をしている生徒を監督して45分間を過ごしたときのことである。その部屋の後ろの掲示板に,『成功は行程であり,目的地ではない』と書いてあった。
「わたしは45分の間ずっと言葉を熟考し,その言葉を自分の心の奥底まで染み透らせた。実のところその日まで,わたしは人生を,目的と結果の連続と見ていた。卒業,卒業証書,学位,結婚,子供の誕生,昇進,その他類似の出来事はいずれも目的地であり,わたしは停留所から停留所へと進んでいた。
「わたしはその場で,その部屋で,これからは目的地に達したことを基準にして幸福を測るのをやめ,自分の人生全体はやむことのない行程で,その一刻一刻は自分が楽しむためにあるのだ,とみなすことを心に誓った。自習時間を監督するその貴重な割当のおかげで,わたしは人生で最も大切な教訓の一つを学んだ。すなわち,事の大小を問わず,途中で成し遂げた事柄で自分の人生を評価してはいけないということである。そうした事柄で人生を評価するなら,絶えず別の目的を追い求め,実際に満足することを決して自分に許さず,欲求不満に陥ることは必至である。何を成し遂げても,次に成し遂げる事をすぐに計画して,自分がどれほど成功し,どれほど幸福であるかを測定する基準を手にしていられるようにしなければならない。
「むしろ,目を覚まし,自分の進む道筋で出会うすべてのものに感謝することだ。あなたの楽しみのためにそこにある花をめで,日の出やかわいらしい子供,笑い声,雨,小鳥などに目をとめるとよい。いつまでたっても将来にある,気をゆるめてもよい時まで待つのではなく,すべてを味わい尽くすのである。確かに,成功は―そして人生そのものも―一度に一つずつ,物事を楽しむための一刻一刻の積み重ね以外の何物でもないのである。この原則を理解すると,成し遂げた事柄を基準にして自分の幸福を評価しなくなり,人生の全行程が幸福を与えるものであるとみなすようになる。つまり,かいつまんで言えば,幸福へ至る道はない,なぜなら幸福こそ道であるからだ」。
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